肢体不自由児に整形外科での手術を避けようとする考え方
肢体不自由児の中には、筋が短縮する事によって、関節の動きに制限が起きる事があります。
ここでの短縮とは筋が短くなるのではなく、骨の成長に沿って筋が成長できない状況を指しています。赤ちゃんの身長が伸びるのは、骨が伸びるに従い筋・神経・血管・皮膚などの身体の組織全てが、骨の伸びに引っ張られるようにして伸びていくのです。しかし筋だけが、骨の成長に応じて伸びられないが為に、筋が短縮したように見える事となるのです。
筋が短縮したように伸びないために、関節の動きに制限が生じます。関節の動きが悪化した時、今の肢体不自由児の多くがボトックス注射治療を受けるようです。
ボトックスでの治療でなく、整形外科での手術を勧める私にとっては、何故にボトックスを選ぶのか理解できないでいました。しかしある保護者が、ある医師の話を聞かせてくださり納得できたのです。
では、その納得できた話を記してみます。
関節の動きが悪くなるには、二通りが有ります。
ア 麻痺によって骨の成長に沿って筋が伸びられない場合。
イ 身体を動かさない為に、動かない関節となってしまった関節。
ここで記す手術の話は、アとイの条件で関節の動きに制限が起きたときのことです。
股関節が開きにくくなる事によって、座りにくくなり、四つ這いが行いにくくなり、歩きにくくなります。あるいはおむつ交換が行いにくい、股を清潔に保ちにくい、抱きにくいなど、介護もやりにくいので股が開くようにボトックスで治療する?
私はボトックスを選ばずに、整形外科での手術を勧めます。
整形外科の先生は、手術によって股関節が開くようにした時、股関節は開くようになったが股関節が脱臼しては困るのです。
手術を行った後に、股関節の脱臼を起こす話はよく聞きます。だから医師としては「手術をしたのに脱臼してしまった」とは言われたくないのです。
私が手術を勧めて、手術を受けた後に脱臼となった子どもはいません。
何故に脱臼となる子どもと、脱臼しない子どもとに分かれるのでしょうか?
○ 脱臼してしまう子どもは
手術後はギブスで固定したり、装具によって固定し、股関節を開いた状態で数週間から数年固定される事があります。
固定されている間は股関節は開きますが、固定が外れて間もなく脱臼となるのです。
どの関節も、関節を動かす筋や靭帯、関節包などによって、関節が外れないように保護されています。手術によって股が開く様にするのは、股を閉じる筋を緩めたり切り離すからであって、緩んだぶんだけ股関節は不安定な関節となるのです。
子どもは身体が大きくなっていきます。身体が大きくなると共に足も長くなり、足の重さも増えます。不安定となった股関節は、重たくなった足を支えて、股関節から外れないように保つためには、手術を受けた筋以外の筋でもって、股関節を維持しなければならないのです。
股関節が外れないように保つために、筋の力が必要です。しかし残された筋の筋力強化が図られなければ、筋でもって股関節を維持する事ができずに脱臼となってしまうのです。
◎ 何故に脱臼しないのか
私は術後に医師から動かす事が許されたならば、ストレッチを充分に行い、LSでの立位を大切に行います。
LSで立ち、松葉杖訓練や松葉杖歩行訓練によって、股関節周辺筋の強化と随意性のアップを図ります。
股関節周囲の筋の働きを促す事によって、股関節の脱臼が防ぐ事ができるのです。
股関節周囲筋の働きを促す事によって、坐位が安定し、四つ這いが可能となり、杖歩行や独歩に至る事ができるのです。
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多くの整形外科医師は、「○」のような治療しか見てきていないのです。ですから手術をしても脱臼してしまう。整形外科医師としては、術後に股関節脱臼してしまう事など、許せないのでは…。ならば保護者の求める股が開くようにするためにボトックスを選ぶ…
手術を行い、股関節の脱臼が起きずに、機能が改善するならば、ボトックスと手術のどちらを選びますか?
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